六等星の瞬き

ひっそりと本(児童書)について書きます。たまに雑記も。

青い鳥文庫新訳『小公女』が3月に発売!

何となく青い鳥文庫の公式サイトを見ていたら、3月の新刊の中に『リトル プリンセス 小公女』があるのを見つけました。藤田香先生の絵に、石崎洋司先生の新訳!これは黒魔女さんファン的には熱いですよ。散々黒魔女さんが通る‼について語っているこのブログですから、言及しておきます。

1月新刊の『小説教室』もそうですが、2019年現在に石崎洋司×藤田香(キャラクター原案ではなく絵として)の本が刊行されるのは嬉しいですね。追悼メッセージでもあったように、まさに本棚の星ということでしょうか。異国情緒ある藤田先生の絵も魅力的…!

↓新装版の絵は変わらず、訳が新しくなるのだと思われます。

リトルプリンセス-小公女 新装版 (講談社青い鳥文庫 94-5)

青い鳥文庫|ジャンル別おすすめ本(世界の名作)|青い鳥文庫|講談社BOOK倶楽部

小公女は青い鳥文庫では読んだことがなく、藤田先生が絵を描かれていたことも対象層を過ぎてから知りました。私は「児童書全般が好き」というよりも、「かつて夢中になった作品を一途に好きな人」なので、新刊を頻繁にチェックしているわけでないのです。

石崎先生の12月の講演会。「貴種流離譚が好き」の流れで、小公女を紹介していたのが記憶に新しいところです。熱く語ってらしたので、講演会の中でも想い出に残っている場面です。そのときから翻訳は始まっていたんでしょうね。読むのが楽しみです。

 

※ここから下は私見満載の脱線です。

青い鳥文庫の名作のページを見ていて感じたのですが、全体的に随分と絵がポップなものに刷新されているのですね。時代に即した読んでもらえる本づくりなのでしょう。私自身は新しめの絵を好む小学生ではなかったので何とも言えませんが、ひとたび読み始めると文と絵が一体の魅力となって訴えかけてくるのが児童書だと思います。

絵に関してよく聞くのが、昔の名作児童文庫に比べて最近の絵は子供の想像力が削がれるという言説。でも昔風のタッチと昨今の絵柄で想像力に違いが出るのかといえば何とも言えない気がします。

タッチが違っても、「人物の顔が出てしまっている」ということだけで真に自由な想像力ではない気がします。例えば文章のみの本では文字で書かれた情報から、自分の想像力で人物や情景を作り上げることが要求されます。対して児童書は要所に挿絵があって、文章のみの描写部分は示された絵に基づいたイメージを構築する読み方でしょう。

児童書(新旧問わず)と一般の文学作品を交互に読んだりすると、無意識のうちに全く違う読み方をしていると感じます。それぞれに違う楽しさがあります。児童書の絵というのは想像のヒントかつ促進するものであり、絵を魅力的に感じればそれだけ文章部分での想像も高まるのではないかと思います。

そこに絵のタッチはあまり関係せず、「昨今の絵は想像を阻害する」とはいえないのではないでしょうか。挿絵がある児童書というのは、すべて「ある程度限定された状況下の想像力」を働かせるもので、挿絵のない小説(児童書も含む)で働くものとは違うと思います。完全に文字だけの本で想像力を働かせるようになるまでの過程で、作品への親しみを持たせるのが児童書の挿絵。それがどれだけ想像を促進するかは、完全に子供さんの好みだと思います。

確かに最近の絵柄は云々といいたくなる人の気持ちも分かるんですよ。対象年齢を過ぎてしまった人(私含め)には、書店に並んでいる児童書の絵柄が同じ方向性で、個性がないように見えてしまう。私がこのブログで挙げているような作品も当時は年配の人から「けしからん」と思われることもあったのではないかと…。でも対象層の子供さんには見分けがつくし、愛着もあるし、楽しんでいるのではないでしょうか。エンタメ寄りの児童文庫は特に子供が自発的に手に取らないと売れないと思いますからね…。

 

そういえば、昔小公女のドラマ放送がありましたね。志田未来さんが出ていたのは覚えています。子供のころに見たからか、ちょっと刺激的(いじめのところが)で印象に残っています。かつて話題になったドラマ『ライフ』に似た香りがあったような…。遅めの時間&いじめが題材ということで、ライフを見ようとするたびに親から怒られていた記憶があります(笑)。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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