六等星の瞬き

ひっそりと本(児童書)について書きます。たまに雑記も。

『黒魔女さんの呪いの学園』2019年7月の新刊(黒魔女さんが通る6年生8巻)とLINEスタンプ感想

そういえば新刊っていつ出るんだっけー?と思って調べたらすでに出てました…。しかもラインスタンプも発売していますし。びっくりです。

新刊『黒魔女さんの呪いの学園』感想

『黒魔女さんが通る‼』六年生編の8巻にあたる。石崎洋司作、亜沙美絵。藤田香キャラクター原案。

黒魔女さんの呪いの学園 6年1組 黒魔女さんが通る!!(08) (講談社青い鳥文庫 E い 1-208)

※微ネタバレあり

最近は魔界冒険編ではない日常回にもタイトルがつくようになっていますね。ざっと読んだ感じだと、扱っている題材や登場人物、チョコの一人称語りの文体的に5年生編の初期に回帰してきたという印象を受けました。

1話はエロエース、2話はメグが主要人物になるところ(どちらも読み切り青龍編からの作者オリジナルキャラ)とか、チョコの1人称語りで5年生編の出来事の振り返り部分があったから、でしょうか。

でもグローバル化小学校卒業後の未来などのキーワードは5年生編にはなかったもので、確実に時間が進んでいるのだなあと感じました。特にグローバル化に伴う英語授業や「容姿だけで順位をつけるミスコンは流行おくれ」といったトピックは時世を反映していますね。隔世の感があります。

昔から黒魔女さんは世間の流れや小学生の流行を取り入れるシリーズでした。小学生の頃はあまり意識していなかったですが、読み返したり、今の視点で最新刊を読んだりすると顕著に分かりますね。

過去巻だと5巻のラブ&ベリーっぽいゲーム(当時、ゲームやおしゃれに疎い自分でも知っていた)やデコ電や「横綱朝青龍」やら…。
今の小学生は分かるのかしら?

1話 黒魔女さんもグローバル?

初期のエピソード(作中では去年)を絡めつつ、チョコの成長っぷりが拝める話。
過去の出来事からヒントを得て、自分で考えて創意工夫するチョコ。天才肌です。初期の3巻から提示されていた「素質のある子」感が増してきました。

3回も魔女に引っかかるエロエース。生贄にされそうになったり、悪魔の入信儀式をさせられたり散々な目に合っています。基本的に黒魔女さんの世界は危険と隣り合わせですね。男子キャラの中では一番好きなのでメインなのは嬉しいです。

「そんじょそこらのノラ黒魔女と違う」ギュービッド。大変良いですねえ。私はギュービッドが一番好きなキャラなのですが、明るくてお茶目なところや容姿というより「頭の切れる黒魔女」という部分が好きポイントです。気合・根性・天才肌で切り抜ける場面もあるけど、冷静に判断できる大人な面や、才能があるところ。
ハロウィーン編の「あの子は頭のいい子です。byメリュジーヌ先生」(214p)という台詞、すごく好きです。

「頭の切れる黒魔女」同士だから、暗御留燃阿との対比も映えるってもんですよ。

2話 黒魔女さんの未来予想図

メグと大学の学園祭に行く話。小学校卒業後の未来についても言及される。6年1組の皆は明確な夢を持っているのにチョコは何も語れずにいる。そんなチョコを見たメグは大学の学園祭に誘う。

最初、黒魔女さんを読み始めた時は「自己チュー」と書かれているのもあって少し嫌な子なのかなという印象がありました。実際は裏表がなく、自分を持っているキャラですね。

6年1組の未来予想図とともに、桃花ちゃんやギュービッドの夢にも言及されます。この2人の将来に言及されると、ラストに近づいてきたのかなという実感があります。ギュービッドの夢の方はオチ的に使われていましたが、実際の本編ラストではどうなるのでしょうか。今巻と全く関係のない想像なのですが、まさか涙の国の次期女王とか⁈

大学に行きたいという桃花ちゃん。確かに、新しいことを学ぶのは楽しいですね。魔女学校も卒業していないだろうし、桃花ちゃんはまだ20歳そこそこですよね。昔は自分にとって「すっごくお姉さん」感があったのに、時の流れは速い…。

チョコに関する未来予想図を描く東海寺&麻倉くん。お決まりの展開。そこで「未来予想図は自分のものでないといけない」とたしなめる松岡先生の台詞がいいですね。確かに未来をともに描く人がどんなに素敵でも、自分の人生やその未来は自分のものでしかないですもんね。

人間の大学の中に黒魔女の大学が隠されており、トラブルに巻き込まれるチョコとメグ。そこに現れた大形君は大学生の黒魔女に黒魔法を指導するアルバイトをしているという。「純粋な小学生には大学生は大人にみえるだろうけど、大人からみれば大学生なんてヒヨコみたいなもの」という台詞。共感できすぎて笑いました。本当にそうですよね。社会人と学生の間には明確な線引きがあります。

東京の大都会にある大学に出かけていくチョコとメグ。昔から気になっていたのですが、黒魔女さんの舞台・チョコの住む町ってどのあたりなんでしょう?東京のはずれって、関西人には想像がつかない…。

黒魔女さんが好きな理由の一つに「溢れ出す東京感」があるんですよね。初期から原宿や池袋が登場しますし、いかにも東京っぽい標準語が新鮮で新鮮で…。この世の小説の大部分が標準語で展開すると思いますが、黒魔女さんの場合はチョコの一人称語りの細かい言い回しが東京っぽいです。関西ではまず言わない感じの台詞も多くて、自分にとっては別世界でした。

ラインスタンプ雑感

全コマ藤田先生の絵です。初期から最近のものまで新旧イラストが取り混ぜられていていい感じ。石崎先生の絵柄もあって、いい味が出ています。自分はラインスタンプを使わないのですが、眺めているのが楽しいですね。

個人的に好きだったのはコウモリのイラストです。
5年生編の各話の扉絵付近に出てきて「それからそれから⁉」とか「まだまだつづくよ!」とか喋ってるコウモリ。地味に好きキャラです。いつのころからか気が付くと影が薄くなっていたコウモリさん。まさかラインスランプでピン出演するとは…!

あと、使い勝手が良さそうなのが悪魔情ですね。
黒魔女さんのメインキャラ(ギュービッドやチョコたち)って使う相手を選びません?ちょっとマイナーキャラかつ、マスコット的な雰囲気のスタンプだと、気軽に使えそうです。そして身の回りにいる隠れ黒魔女さんファンを見つけ出せそうですね。相手の記憶を呼び覚ませそうじゃないですか(笑)

 

7月の新刊は黒魔女さん&怪盗クイーンという古参青い鳥ファンに優しいラインナップ。

怪盗クイーンに関しては「おもしろい話が読みたい!」の題材が扱われていて驚き。小学生当時、あの「出逢い+1」がすごく心に残っていました。まさか十何年越しに回収してくれるとは思いもよらなかったです。2か月連続上下巻刊行なので楽しみも二倍ですね。

 

記事の内容は感想というよりも好み語りになってしまいました。しかも最後までよく分からない締めです。

お読みいただきありがとうございました!

 

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