六等星の瞬き

ひっそりと本(児童書)について書きます。たまに雑記も。

黒魔女さんが通る‼シリーズの概観(既刊一覧まとめ)

「黒魔女さんが通る‼」シリーズ(石崎洋司作、藤田香・亜沙美絵)既刊一覧まとめです。発売ごとに随時更新していきます。シリーズ開始から15年経過(2021年現在)しているので既刊も45巻以上あります。そして作中で時間が経過していく物語なので、久しぶりに読む人は進捗が分からず、間をあけてハマり直すと見たことがない巻がいっぱいあって驚くと思います。

最終更新:2021年1月

※随時更新なので新刊のネタバレを含みます。

このブログにしては珍しく役に立つ系(?)の記事を目指したつもりです。

黒魔女さんは本編に加え、派生シリーズも沢山です。あまり知られていないかもしれませんが、派生シリーズがまた良いんですよ…。

各巻の下の概要やコメントは自分の主観込みです。 間違いがないように留意してますが、客観的なあらすじは青い鳥文庫公式へ‼

青い鳥文庫|黒魔女さんが通る!!|青い鳥文庫|講談社BOOK倶楽部 

 本編
(主人公が小学生のチョコ、一人称語りで進む)

「おもしろい話が読みたい!青龍編」収録 2005年

事実上の第一話。「東西5人の作家が腕を競う」がコンセプトの青い鳥文庫25周年企画アンソロジーに「黒魔女さんが通る‼」のタイトルで収録。読み切り1話が後の大人気シリーズになったんですね。

チョコとギュービッドの出逢い、黒魔女修行のきっかけが読める。初期ならではのダーク&オカルト雰囲気が満載。チョコは超ドライ。クラスの5年1組はギスギス感があるし、舞&百合の首領っぷりが容赦ない。緑基調の単行本は絶版で入手困難だが、アニメDVDブックに再録されている。再録の方はシリーズ中期の雰囲気の挿絵に刷新されている。ホラー感がある元の挿絵が観れるのは緑基調の単行本なので、そちらをオススメしたい。

私が初めて読んだのが青龍編(※既に8巻あたりまでは刊行済みの時期)なのですが、当時の児童書の中では物凄く新しくて型破りだった印象があります。

何者か分からなくて怪しいギュービッド(挿絵も含め)や生々しさのあるホラー感の虜になってしまいましたね。そして今に至ります(笑)。

5年生編全20巻(基本は読み切り三話構成、特別編あり)

1巻 チョコ、デビューするの巻 2005年

1巻から盛沢山。学校の怪談解決(1話)、原宿で死霊を召喚させられそうになって、トレードマークのゴスロリを入手する(2話)、ギュービッドの初恋話(3話)。まだまだ修行が始まったばかりのツンツンしたチョコとギュービッド。テンポが良く少し毒と棘のあるコメディー、もれなく続きを読みたくなる!

2巻 チョコ、空を飛ぶの巻 2005年

自転車に乗れないチョコのサイクリング(1話)、インチキ屋台に騙されて人間の子供が魔界に連れ去られそうに(2話)、お馴染み麻倉君東海寺君の初登場(3話)。黒魔女なので、空を飛ぶといってもロマンチックな感じではありません(笑)。麻倉君と東海寺君に啖呵を切るのが初期のチョコ、そこが好きだった。

3巻 ライバルあらわる⁉の巻 2006年

厄払い(1話)、テレビ出演(2話)、魔法で温泉を演出(3話)という日常回を伏線にライバル登場。暗御留燃阿大形君登場の重要巻。学生時代のギュービッドのエピソードあり。いやいや修行させられているチョコの心に少しだけ変化が…?

4巻 黒魔女さんのシンデレラ(特別魔界長編) 2007年

魔界長編の第一弾。移動教室の真っ最中に4級黒魔女認定テストが始まった。5年1組の皆を人質に、単身魔界に送られるチョコ。それは単なる認定テストではなくて、待っていたのは大形君…。大形君の正体が明かされる重要巻。
師弟の絆が萌芽する(かぼちゃ畑の一コマ、見送りシーン等)巻だと思う。かぼちゃ畑で大暴れしたり、大形君に啖呵をきったりとチョコらしい魅力も全開。

5巻 5年1組は大騒動!の巻 2007年

真夏も黒魔女修行。プール、ミニハイキングと、夏休みも黒魔法がらみの騒動が起こる。恋要素あり、プールサイドで大形君との対決ありの盛沢山。桃花ちゃんが本格的に登場、チョコの妹弟子になる。邪悪な演技をする桃花ちゃん、魅力的…。

6巻 この学校、呪われてません?の巻 2007年

遠足、授業参観、運動会の三本立て。巧妙に伏線が張られた申し分なく面白い日常回からのラスト。どんでん返しに注目。7巻へ続く流れが最高。

7巻 黒魔女さんのハロウィーン(特別魔界長編) 2007年

禁断の黒魔法を使い、お尋ね者になったギュービッドを救うため、チョコと桃花ちゃんは魔界へ。魔界の登場人物も多数。魔女学校が本格的に登場。チョコの真骨頂が発揮される最高のシリアス師弟愛長編。個人的イチオシ巻。

8巻 赤い糸が見えた⁉の巻 2008年

チョコの街の秋祭りと過去番外編(?)の二本立て。雰囲気が違う表紙と番外編の存在でいつもの黒魔女さんとはちょっと違う感じ。表紙のギュービッドのフードの内側の二つ結びに驚きましたが、設定としてはシリーズ開始時点からあったみたいですね*1

過去番外編は以降の様々なシリーズや巻の重要な布石。チョコのおばあちゃん、ギュービッドの大叔母さん、メリュジーヌ先生の3人が登場、短いけど心に残る密度の高い話。

9巻 世にも魔界な小学校の巻 2008年

公募読者キャラが登場する本シリーズ。この巻ではチョコの全クラスメイトが出揃う。図書館での悪魔祓い、卒業写真撮影に絡んで1巻で登場した美少女、ルルちゃんのちょっと切ない話もある。このあたりで100万部突破したようで、初版本には5年1組完成&100万部突破のカラーポストカードがついています。

10巻 黒魔女さんのクリスマス(特別魔界長編) 2008年

青い鳥文庫版と豪華ハードカバー単行本がある。異端審問にかけられてクリスマスの魔界を逃避行する。黒魔法修行の本当のきっかけやチョコのおばあちゃんの秘密が明かされ、シリーズの一区切り感。登場するこの巻限りの人物に哀愁があり、燃える展開だけど、どこかしっとりした雰囲気。

終盤のギューバッドさま(ギュービッドの大叔母)のイラスト、色気と艶があふれてます。藤田先生の絵は破壊力が凄いです。モノクロの一コマだけでも引き込まれる何かがありますね。

11巻 恋もおしゃれも大バトル?の巻 2009年

年の瀬の街を舞台にクリスマスケーキ合戦や冬休みの宿題。ハデハデ少女、メグの意外な一面が垣間見れる。

12巻 黒魔女さんのお正月(特別魔界長編) 2010年

これまでの長編とは違い、逃避行ではない。魔女学校が舞台。ダメ黒魔女冬期講習に呼び出されたチョコが他の黒魔女さんと力を合わせて課題をこなす。そこに大形君や暗御留燃阿等、意外な人物が絡んでくる。個人的には黒魔女さん新章、という印象。

13巻 黒魔女さんのバレンタイン 2010年

中身は通常の読み切り3話。クラスのバレンタイン騒動と黒魔法絡みの騒動の両方が巻き起こる。3話・黒魔女さんのバレンタインは切ない。扉絵のしっとり大人感も素敵。ギュービッドを大切に思うあまり、砂時計を割るチョコの一筋縄でいかない主人公ぶりが良い。純粋さはある意味で残酷。

14巻 5年生は、つらいよ!の巻 2012年

前巻から2年も空いてるんだ…。怪しげな塾で起こる騒動、チョコの2級黒魔女合格判定テスト等。黒魔法修行はみっちりとペーパーテストもあるのです。すっかりクラスの皆に頼られるようになったチョコ。

15巻 黒魔女さんのひなまつり 2012年

中身は通常の読み切り3話。5年生の3学期、生徒会選挙にひな祭り。学校が舞台の黒魔法修行。クラスメイトにもスポットが当たる。魔界の住人が続々登場、何かが起こる予感…?

16巻 黒魔女さんのホワイトデー(特別魔界長編) 2013年

黒とピンクの表紙がかっこいい。黒魔法の失敗によって魔界にとらわれたチョコの黒魔女の友人を救うべく、ギュービッドは単身魔界へ。チョコと桃花ちゃんも後を追う。黒魔法のダークサイドが垣間見える。全体としては心温まるシーンもある。メイン師弟の信頼関係は固い。大形君大活躍。大形君も複雑な苦労人…。

17巻 卒霊式だよ、黒魔女さん

進級のための試練として「あやとり魔法」に苦労するチョコ。一方、先輩たちの卒業式では何かが起こりそう…。エロエースの知られざる魅力が分かる。チョコの逞しさ・行動力に進化を感じる巻。師弟の連携プレーも良い!

18巻 とつぜんの絶交宣言⁉の巻

麻倉君&東海寺君コンビから絶交されてしまったチョコ。そしてギュービッドの誕生日が迫っていて…。黒魔女流お誕生日はサバトの開催。そこでもひと騒動。大形君と桃花ちゃんの修行の様子が垣間見える。大形君はさりげなくチョコに必要なヒントをくれる存在に。

19巻 「あゆみ」の呪い⁉の巻 2015年

春休みが舞台。黒魔女学力テストに向けて焦るチョコ。相変わらず色々な騒動が巻き起こる。どことなく和風なモチーフが登場。

20巻 奇跡の5年1組、解散⁉ 2015年

5年生編の最終巻。クラス替えが予定されていることを知ってしまったチョコたち。変人ばかりだけど、面白い5年1組。クラス替えは阻止できるのか? 一方、魔界学力テストでカンニング疑惑をかけられたチョコはあわや修行取りやめの危機に。ラストではその2点が綺麗に解決されます。「チョコも変わったなあ」と10年分の積み上げを感じます。最終巻にきて喧嘩する師弟にも注目。

6年生編 既刊11巻現在刊行中

1巻 使い魔は黒ネコ⁉ 2016年

6年生、新学期の読み切り3話。転校生、新入生歓迎会フリーマーケットが題材。チョコも修行が進んで、一人で考え実行するように。ギュービッドはその指南役。

2巻 家庭訪問で大ピンチ⁉ 2017年

学校の日常生活読み切り3話。色々なクラスメイトが登場して楽しい。普通の会話をする師弟、初期から比べると随分仲良くなったなあ…。

3巻 ひみつの男子会⁉ 2017年

端午の節句や美人な音楽の先生にまつわる読み切り3話。藤田先生が体調不良で休養されたのがこの巻…。「若おかみは小学生!」の亜沙美先生、「泣いちゃいそうだよ」の牧村久実先生、「探偵チームKZ事件ノート」の駒形先生が挿絵を担当。

4巻 呪いの七夕姫! 2017年

2度目の授業参観や七夕を題材に読み切り3話。3話ではチョコのやさしさが染みる。亜沙美先生、「怪盗クイーン」のK2商会先生、「妖界ナビルナ」の戸部淑先生が挿絵を担当。

5巻 黒魔女さんの修学旅行(特別魔界長編) 2018年

修学旅行中に始まる2級黒魔女認定テスト。しかもギュービッドがインストラクターから外れるかもしれない⁉ 大形君も裏で動いていて波乱の展開。

チョコ以外視野に入っていない大形君。離れたくないあまり、ギュービッドに「魔界を捨てること」をさらっと提言するチョコ。魔界を追放されたらずっと一緒にいられる。結構な爆弾発言。凄いところまで来てしまった…。黒魔女さんシリーズは愛が重め。

6巻 黒魔女さんの夏休み 2018年

読み切り3話。夏祭りや海水浴等、5年生編とはまた違った雰囲気。ここにきて新たな要素が加わり、盛り上がりそう。藤田先生の訃報についての追悼コーナーが設けられている。石崎先生や編集部の方の想いが伝わる。挿絵は正式に亜沙美先生へ。

7巻 黒魔女さんの悪魔の証明 2019年

よいタイトル。舞台は学芸会。チョコのおばあちゃん(元黒魔女)に会いに行くシーンも。

8巻 黒魔女さんの呪いの学園 2019年

グローバル教育、小学校卒業後の将来と5年生編のころにはなかったエッセンスを取り入れながらも、初期の雰囲気に回帰してきた感じ。初期ほどダーク&ドライではないけれど、エロエースとメグがメインだったこともなんだか新鮮。

物語のラストに向かい始めていると感じる点もありました。

9巻 黒魔女さんのハロウィーン★大パニック! 2019年

5年生編の「魔界で逃避行ハロウィーン」とは打って変わって、チョコの街を舞台としたハロウィーン話。10年以上前の5年生編刊行時はハロウィーン行事はまだまだ「外国の異文化」という位置づけだった。この9巻は現在の世間のハロウィーンを取り入れながら、正しい文化や起源に触れている。

訳あって新しいゴスロリのチョコ。派手な感じなので好みが別れそうですが、表紙の構図やキャラの雰囲気が可愛くて、ハロウィーン感が出てますね。ギュービッドの裁縫の腕が光ります。

10巻 恋に落ちた黒魔女さん? 2020年 

今までの巻の中で一番度肝を抜かれた1冊。学校行事を舞台に起きる騒動を黒魔法で解決というお馴染みの展開でも、チョコの一人称語りでの心境に変化があるだけで読み手の抱く印象も激変!主に大形君絡みで物語が大きく動き、東海寺君も麻倉君も大活躍。

合唱コンクール」と「美術館見学」という秋の行事話の二本立て。チョコの標準語っぽい語りとダーク&少々危険な雰囲気は、シンプルイズベストな黒魔女さんだった。最近の巻では、やはり初期回帰の傾向。一方では小学校卒業と中学進学が近いことに触れられており、チョコの新たな素質にも言及されている。

チョコとギュービッドの師弟は日常的な連携と絆が定着しましたね。チョコはもうすっかり「できる子」になっている…!ラストの展開に心掴まれました。次巻はチョコ&大形メインの魔界長編だと思うので、ギュービッドがどのような位置づけになってくるのか気になるところです。

11巻 黒魔女さんと黒魔術の王(特別魔界長編) 2020年 

チョコ、ギュービッド、桃花の安定感ある3人と大形がメイン。ギャグに見せた伏線やかなり前の巻からの伏線回収が面白い。大形は魔力が強いだけではなく頭が良いと実感。タイトルの黒魔術の王が登場するラストではミステリアスな儀式が登場。全体的なキーワードは「死者の蘇生」「魔界の秘密の黒魔法教団」など、初期よりもスケールの大きなオカルティズム。

魔力・記憶共に消えてしまうジュースを飲んでしまった大形。どういう結果になるのかは次巻で明かされる。

物理的に会えなくなるのではなく、隣にいるのに今までのことを何一つ共有できなくなったら、きつい展開ですよね…。個人的には好みの展開ですが、今の黒魔女さんでそういう展開をするのかは予測できません。次巻で大形絡みは一旦決着なのでしょうか。

予想外の展開で、読みながら純粋に面白いと感じました。初期の魔界長編(シンデレラ、ハロウィーン、クリスマス)を彷彿とさせる要素もありながら、佳境ならではの謎も散りばめられた巻。

12巻 黒魔女さんと秘密のサバト 2020年 ←最新刊!

記憶・魔力共に消えてしまった大形不在のまま進む物語。大形の強大な魔力を受け継いだチョコは高いレベルの黒魔法を使って、冬至の街で起こる騒ぎを解決しながら大形を救う手掛かりを探す。いつもの巻ではチョコ・ギュービッド・桃花の3キャラ体制だったが、この巻ではギュービッド&暗御留燃阿とチョコの連携が見れる。暗御留燃阿は表紙にも登場、大形の悲劇の原因として物語の根幹に関わることが示された。大形救出劇は次巻に持ち越されたが、つなぎの巻として面白い。

「サンタクロースはいるか? 」を巡る話では含蓄を含んだ台詞が多かったように思います。第一話は「黒魔女さんのオンライン修行」というタイトルですが、コロナ禍は絡めず、仄めかす程度でした。昔からリアルタイムに時世を取り入れてきたシリーズなので完全無視という訳にもいきませんよね… 特に現役の読者層はガチガチに感染対策と管理をされている子も多そうですし。

外伝(チョコ以外の人物の一人称語り)

本編とは違った魅力がある! 別の人物視点の黒魔女さんも面白いです。本編の世界が更に広がるエッセンスも盛りだくさん。

本編0巻 そこにきみがいなかったころの巻 2011年

良いタイトル。ギュービッドがチョコに取りつく直前のギュービッド視点の話。本編の登場頻度はチョコと同じくらいだけど、一人称語りになるだけで新鮮度が増す。

時折チョコ視点が挟まれる。魔女学校を卒業して以降のニート生活から、インストラクターという仕事に就くまでの冒険譚。本編では見れない雰囲気のイラストも多く、ギュービッド好きに嬉しい一冊。0巻の位置づけだが、13巻までを読了済の方が楽しめる。

 魔女学校物語 桃花ちゃんが主人公、学生時代。現時点で3巻。

1巻 最高のルームメイト 2015年

お嬢様や貴族層ばかりの魔女学校に入学した庶民の桃花ちゃん。厳しい規則や先生に囲まれて大変な毎日。生真面目な桃花ちゃん視点は雰囲気が変わる。このシリーズ限りの登場人物も素敵。桃花ちゃんのダイナマイトの秘密やシーラカンス事件が描かれる。先輩としてギュービッドや暗御留燃阿が登場。楽しい中にノスタルジーを含んだ青春感が漂う。
ギュービッド世代の魔女学校物語も読んでみたい。個人的には暗御留燃阿視点で読みたい…。絶対面白いと思う。

2巻 お料理当番事件 2016年

想い出回想短編集。日常の料理当番や掃除当番、先輩との関係などが題材。ギュービッド、暗御留燃阿、エレオノーラ(5年生編20巻)等が登場。ドタバタ騒動、心温まる展開のバランスが良い。話によっても違った雰囲気が味わえ、本編でおなじみのキャラクターも桃花ちゃん目線だと新鮮。

3巻 友だちのひみつ 2016年

可愛らしい表紙に油断するといい意味で危険。3話「ティアーの秘密」、一見何の不自由もないお嬢様視点で語られる秘密。その中で「すべてが完璧な人」に対する桃花ちゃんの語りが、ある程度の挫折・経験を積んだ年齢だと心に刺さる

小さい頃はすべてが完璧な人なんてお話の中の存在だと思っていました…。でも現実には結構いるんですよねえ。そこを完璧に突かれた感じ。2話の「創作黒魔法」ネタは本編の新刊(黒魔女さんの夏休み)でも登場しましたね。

黒魔女の騎士ギューバット 全3巻完結 2014・2015年

これぞ正統派冒険ファンタジー。世界史上で起こってきたような迫害と異端を描く部分もある。それでいてコメディあり、感動あり、寂しさと希望が入り混じる卒業自分探し。19歳主人公の青い鳥文庫

主人公はメリュジーヌ。本編中ではチョコのおばあちゃんの親友、現王立魔女学校校長です。そんなメリュジーヌが卒業直前にギュービッドの大叔母・ギューバッドと大冒険をすることになってしまう…。ちょっぴり気が弱くて優等生メリュジーヌ破天荒怖いもの知らずのギューバッドが織りなす冒険譚。魔界の悪霊の国が舞台なのですが、設定や登場するモチーフが重めで異世界感がある。でもその構図自体は歴史で繰り返してきたようなものなので妙に現実感がある。

冒険をともにする人物は個性的かつ魅力的。ラストでは学校卒業、今までの自分や親友との決別を通して、自分の歩みたい道を決めるメリュジーヌ。爽やかで切なくて本当にいいシーン…。黒魔女さんシリーズの「別れ」や「見送り」のシーンは素敵

たった3巻のシリーズですが、本編初期に並ぶくらい好き。「こんな外伝あったんだ」という軽い気持ちで1巻を買ってみたら、面白すぎてあっという間に全巻読了。

ちなみに初出は「おもしろい話が読みたい!マジカル編」。単行本になったので一覧では省略。

若おかみは小学生!令丈ヒロ子作、亜沙美絵)とのコラボ作

おっことチョコの冬休み(あなたに贈る物語 収録) 2006年

通常の青い鳥文庫ではなく、アンソロジー集に入っている。チョコの5年1組がおっこの花の湯温泉に遊びに行く話。

おっことチョコの魔界ツアー 2008年

冬休みに出逢ったものの、忘却魔法で互いを忘れてしまったおっことチョコ。魔界の豪華旅館を舞台に魔法を使わず、互いの友情を取り戻せるのか? 両シリーズのほかキャラクター同士の交流も楽しい。

恋のギュービッド大作戦 2010年

元はハードカバー単行本だったが、青い鳥文庫版も登場。2人がタイムスリップして未来が変わらないように頑張る話。おっことチョコのおばあちゃんおじいちゃんたちの若かりし頃の青春感が素敵。戦後間もないころの春の屋旅館や干し芋農家を舞台にしていて独特な感じが面白い。おっことチョコはどんな状況でもしたたか!

魔リンピックでおもてなし 2015年

魔界のオリンピックを誘致するためにおっことチョコが周囲を巻き込みつつ、ドタバタする話。真相はギュービッドと鈴鬼くんの悪だくみなのですが(笑)。最後はほっこりと心温まる。

陰陽師 東海寺迦楼羅の事件簿1 人体発火の譚

若おかみは小学生!」とのコラボからの派生作品(ややこしい…)。シリーズの読者にはお馴染みの東海寺と麻倉。2人の祖父の冒険譚。オカルトと推理が融合したような展開になっている。2人の関係は本編6年生6巻「黒魔女さんの夏休み」に詳しい。児童向けではないレーベルで刊行、本文の雰囲気も本編とはかなり違う。

この物語の構想があることは知っていたけど、本当に実現して驚き…。

その他

黒魔女さんの小説教室 2009年

サイト上の連載から書籍化。読者投稿作品を中心に、作者と作中キャラクターが指南してくれる「超実践的‼」との呼び声高い1冊。

この本はパラパラとめくった程度にしか読んでない(しかも図書館で)のですが、「本当に小学生の作品⁉」というほど面白い文章が目白押し、発想豊かで高レベルでした…。勿論アドバイスはその上をいっています。2019年1月に青い鳥文庫で再版済み。

ほとんど全員集合!キャラブック 2011年

チョコが「プロフ」集めをするという設定で、キャラクターのプロフィールをまとめてある。普段はチョコ一人称語りだが、この本ではほぼ全員の視点が味わえる。石崎先生や故・藤田先生のメッセージ、藤田先生書き下ろしのコーナーもある。

話の中にいざなうという点で黒魔女さんシリーズは本当に凝っています。サイトの文章等も「考えている人凄いな…」と感じます。キャラ以外のページも楽しい。これは書店に置いてあるので普通にゲットできます。

思いがとどく!ポストカードブック 2011年

表紙絵やイラストの一部をまとめたもの、タイトルや本の枠で隠されないカラーイラストが見れて楽しい。藤田先生の絵は本当に良いですねえ…。絶版になっているようなので入手困難かも。先生の訃報の後、私は中古で買いました。

思いがとどく! 黒魔女さんが通る!! ポストカードブック

表紙のイラスト好きすぎる…。

 

最後に

恐ろしく長い記事になってしまいました。なんの前置きもなくキャラ名を出しているので、昔読んでいた人向け一覧表かもしれません。対象年齢を過ぎて、ふとしたことから黒魔女さんの存在を思い出した方の参考になれば嬉しいです。

ちなみに自分が対象年齢のころに読んだのは本編の初期までです。外伝等は大人になってから読んだのですが、それでも上記のように熱い感想が浮かびました(笑)。扱っている題材や語り手の年齢的にYA版の黒魔女さんを読んでみたい気がします。YAエンターテインメントのレーベル(講談社)で出版されたりしないかな?

 

 

*1:6年生編6巻『黒魔女さんの夏休み』巻末。

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