六等星の瞬き

ひっそりと本(児童書)について書きます。たまに雑記も。

黒魔女さんが通る‼(青い鳥文庫の人気シリーズ)

石崎洋司作、藤田香&亜沙美絵講談社青い鳥文庫刊。2000年代のベストセラー。青い鳥文庫では『若おかみは小学生!』と並んで双璧をなしていました。

小学生のころ、お小遣いをつぎ込みました。その後もマイペースに買い続けて、現段階で既刊のほぼすべてが家にあります!2~3年ごとに思い出したように読む→既刊まとめ買いのサイクルで、かれこれ10年間は好きですね。

黒魔女さんが通る!! チョコ、デビューするの巻 (講談社青い鳥文庫)黒魔女さんのシンデレラ  黒魔女さんが通る!!PART4 (講談社青い鳥文庫)

このシリーズを記事の最初に持ってきたのは、最近悲しい出来事があったからです。

シリーズ開始から13年にわたって挿絵を担当していたイラストレーターさん(藤田香先生)が逝去されたのです。体調を崩されていたことは知っていましたが、まさか膵臓ガンだったとは…。突然の訃報に衝撃を感じました。

好きな作品をリアルタイムで読める。それは当たり前じゃなく、貴重で幸福なこと」ということを痛感しました。

表紙からもわかる通り、可愛くてどちらかというと現代的な絵ですよね。昨今はアニメ風の児童書も多いですが、当時はかなり新鮮でした。先発の児童書では「怪盗クイーン」「若おかみは小学生!」くらいしか思い浮かびません。「ズッコケ三人組」が漫画風挿絵の先駆けで、当時は槍玉にあげられたそうですが、現代では考えられませんよね。黒魔女さんは内容・挿絵ともに「ものすごく新しい児童書」という印象を子供ながらに抱いていました。

それだけに、こんなに早く逝去されたのが衝撃で、信じられない気持ちが残っています。そういう気持ちがブログを始める一つの契機になりました。零細なブログでも「好きなものは好きと言っておこう」という具合です。

 どんな話? 

ズバリ、黒魔女にとりつかれた小学5年生の女の子の話です‼

「黒魔女」だの「とりつかれた」だの、なかなかダークな単語ですね。この話は魔女ものではなく「黒魔女」がメインというところがミソだと思います。可愛い衣装を着てますが、変身しませんし、ファンシーな呪文も出てきません(笑)。

黒魔術=悪魔の力を借りて他者に危害を加える魔術(広辞苑第六版より引用)。

友達といるより一人でオカルト本を読むのが好き、という主人公が腐れ縁の幼馴染に巻き込まれて恋占い「キューピットさん」を行います。しかしその日は鼻づまりで間違えて「ギュービッドさん」を呼び出してしまいます。ギュービットさんは黒魔女で、チョコは黒魔女になるべく修行をさせられることとなりました…。 

かなり本格的な黒魔術の知識オカルトホラー風味盛り込みつつも、笑いあり、涙あり、冒険ありの愛溢れる児童書です。実際、主人公たちは黒魔法を悪用することはないですし。

知識や雑学がそれとなく散りばめられていて、作家さんの歴史や文化への造詣を感じます。それでいて堅苦しくなく「本が苦手な子でも楽しく読める、夢中にさせる」という位置づけの児童書なのが凄いと思います。文章部分は平易ですが、魔法やストーリーに絡んで大人でも知らないような豆知識が出てきます。

メイン登場人物は? 

黒魔女である以下の3人がメイン中のメインでしょう。公式サイトもこの3人が掲載されています。

チョコさんは人間の小学5年生の女子。ギュービッドさんと桃花さんは魔界出身です。

黒魔女さんのクリスマス 黒魔女さんが通る!! PART10 (講談社青い鳥文庫)

チョコ:オカルト好きなごく普通の小学生だったが、魔界のインストラクター黒魔女であるギュービッドを呼び出してしまい、黒魔女修行をすることに。物語開始時は小学5年生。現時点(2020年)は6年生へ進級。

ギュービッド:年中黒革コートを着ている。適当な一面があるが、頭の切れる黒魔女。

桃花・ブロッサム:ギュービッドの2年後輩の黒魔女。チョコの隣の家に住んでいる。普段は小学校2年生女子の振りをしている。生真面目な性格。読者の投稿で生まれたキャラ。

 

ほかにも個性豊かなチョコのクラスメイトや黒魔女さん達が出てきますよ。一部を除いては読者の公募で誕生したキャラクターが多いのが面白いポイントです。

 

今はとっくに大人になった人が考えたキャラが、作中で活躍し、沢山の人に愛されているなんてロマンを感じると思いませんか? 

そんなこんなで、とても一つの記事では収まらない紹介になってしまいました。見てくれる人は皆無かもしれませんが、ゆるーく書いていきたいと思います。

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