六等星の瞬き

ひっそりと本(児童書)について書きます。たまに雑記も。

なぜ児童書に魅力を感じるのか?

大人になって感じる児童書の魅力は何なのでしょうか。人によってそれぞれだと思います。なかには「その年でまだ読んでるの?」と感じる人もいるでしょう。個人の考えの違いなので、それぞれです。

私の主観で挙げさせてもらいますと、主に3つあります。

1、制約があるからこそ作者の腕が試される‼

たとえエンタメ性の強い作品でも児童向けである限り、残忍なエピソードや過激な描写に制約がかかります。一般作品でたまに見られるような安直な刺激に頼るわけにはいかないのです。制約があるなかで、どのような手法を使うかが作者の腕の見せ所です。

ダークな展開、トラウマになりそうなシーンでも児童書である以上は品を保った表現です。個人的には、その方が作品的にも面白く感じます。

2、子供を夢中にできる作品が面白くないわけがない‼

作品への褒め言葉で「児童書だけど面白い」「児童書と侮るなかれ」というものがあります。私はそれに少し違和感を覚えてしまうのです。良い児童書というのは子供だましではありません。わざわざ大人の価値観に並べて評価しなくてもいいのではないかと。子供が手放しに楽しめて、お小遣いをつぎ込むような作品を書く人は本当に凄い人だと私は思います。

そもそも子供は正直で、だましが効かない部分があります。日常生活でも感じることはありませんか?童話、「裸の王様」でも、真実を口にするのは子供ですよね。

子供の審美眼は侮れないです。児童小説は一般小説に比して格下なのではありません。このブログは大人視点の児童書紹介ですが、対象年齢やジャンルを問わず、「良いものは良い」のスタンスでいこうと思います。

3、あのころには見えなかった景色が見えてくる‼

たった1冊の同じ本。読む時期が変われば見えてくるものが変わります。これは読書一般の醍醐味といえるでしょう。特に児童書では顕著です。

例えば主人公の成長物語。様々な困難を乗り越えるなか、ときに大人に翻弄されたり、衝突したり…。昔は主人公に100%感情移入して読んでいましたが、今は大人の登場人物にも目が向きます。昔なら受け流していたことが実感をもって感じられたりと、群像劇として味わうことができます。

また児童書の作家さんは豊かな知識や雑学、思いをさりげなく作品の中に織り込んでいます。適切な表現が思い浮かびませんが、確固たる自分の世界があって、それを子供向けに嚙み砕いているような印象です。そのような作品は読み返して初めて、意図や元のネタが理解できることがあります。

 

あとは…ひょんなことから現在の自分の言動・思考の癖や好みの由来が分かってしまいます!多感な時期に読んだ本には影響されやすいので、知らず知らずのうちに吸収しているんですね。「この作品に影響されたのか」と自分でも無自覚な部分に気づけて面白いですよ。 

以上が児童書の魅力なのですが、普段はもっと「面白いから」という純粋な気持ちで読んでいるかも…。あと自分の性格上、一度好きになったものは一途にずっと好きで忘れられないんです。とはいえ、児童書は読んでる期間と読まない期間の波があります。でも必ず戻ってきてしまう、そんな感じです。

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村