國學院大學児童文学会主催 石崎洋司先生講演会(2018年12月8日)感想
一言でいえば「行ってよかった…!」です。「黒魔女さんが通る‼」シリーズで有名な石崎洋司先生。大学で開催される講演会&サイン会なんて貴重じゃないですか!児童文学関連のイベントは現役読者層に気兼ねしてしまうから、参加しにくいですもん。
元々、私自身の価値観として「作家と作品は別物」、「作家の人間性がどうであろうと良い作品は良い」みたいなものがあって、どの作品でもイベントの類に参加したいと思うことがあまりなかったのです。でも今回の参加を通して「好きな作家さんの講演会やサイン会に行く」という気持ちが分かった気がします。というか石崎先生素敵でした…。良い声…。
参加者は大学生以上がほとんどで、対象層の読者ちゃんは保護者同伴で数組くらいかな?大学での開催ということも影響しているのか、内容は割と大人向けでしたね。遠野物語や世界史の話題、紫式部日記の話、他の児童文学作家さんのお名前も出てきたりして、密かにテンションが上がりました!
お話の内容については公言していいか分からないので、詳細は書かないですが、「作家になるまでと作家になってから」がテーマ。
ご自身の小学校時代のお話から始まり、民話収集に関する体験談やデビューの話、黒魔女さんシリーズの創作秘話、創作について、これから書きたいお話の構想と盛沢山でした。くるくると話題が変わるのに一つ一つが面白くて印象深い!お話の中の描写が細かくてかつ分かりやすいところや不思議な体験についての部分では「本当にこの方が黒魔女さんを書いているんだなあ」と実感しました。自分でもうまく説明できない感覚なんですが、直感でそう感じました。
知的で気さくな教授の講義を聞いてる気分でした。「自分が子供のころから好きなシリーズの作者さん」ということを抜きに考えても面白い講演でしたし、「ヘビーな黒魔女ファン」としても超貴重な情報を知ることができ、贅沢な時間でした!
あと、外伝2作品「黒魔女の騎士ギューバッド」と「魔女学校物語」は先生の中でも大切な作品だそうです。私は外伝を読んだときは既に大人だったんですが、この二つは心に刺さるし面白いんですよ…。そもそも小学校の時は本編のクリスマスくらいまでしか出てなかったので、本来の読書層として読むのは無理な話です。黒魔女さん熱が再熱してしまったのは、外伝で本編とはまた違う空気に触れたからこそ、というのが確実にありますね。私は少女小説や冒険譚が好みなんだと思います。だから先生のこの2作品に対する並々ならぬ想いを聞けて嬉しかったです。
「刊行されるかは分からないけど構想としてある外伝」、読んでみたい!しかも横溝正史チックな、とのこと。読んでみたい…。講談社さん、何卒…。個人的に黒魔女さんシリーズの外伝は対象年齢を上げても面白いと思うんですよ。それは内容を過激にするとかいうことではなくて、長さや細部の制約を弱めて複雑にしてみる、みたいなことです。
「黒魔女さんシリーズはこれからも続けたい」という旨の発言をされていましたが、私も完結まで楽しみに買い続けるつもりです。個人的に一番気になるところはチョコとギュービッド(魔界関連の人たち)の帰趨で、どういう結末になるのかという点です。あの二人は別離エンドでも素敵なんだよなあ…。
お話の内容以外だと、藤田先生のラフスケッチも印象的でした。メグの大人っぽさと美少女っぷりに驚きました。確かに青龍編では美少女で男子からの人気があると書かれていましたね。初期のやさぐれチョコ、更に尖った黒マスクバージョン。ちょっと衝撃です。オカルト大好き少女とは別ベクトルで凄い…。あのチョコはチョコで好きです(笑)。
自分にとって人生2度目の東京、初渋谷、初作家さんのイベントと、新鮮な出来事尽くしで、地元に帰ってくるとなんだか白昼夢のような感じもします。
石崎先生、お忙しいなか講演ありがとうございます。國學院大學の児童文学会の方々、素敵な企画をありがとうございました。室内の装飾や資料が凝っていましたね。何より楽しそうな会で、うちの大学にもそういう会があればいいのに…と思います。ツイッターの感想募集に書くのが一番の方法なのですが、こんなブログで失礼します。目に留まるかは分からないですが。ともあれ楽しかったです!
余談ですが、國學院大學の博物館が凄かったですね。折口信夫先生が國學院だったのも初めて知りました。特別展の「列島の祈り」もさることながら、常設展の充実ぶりに驚きました。東京は関東地方出土の人物埴輪が沢山展示してあるので楽しいです。関西は古墳が多いけれど、並べられているのは円筒埴輪が中心なので…。縄文の土偶もそうですが、西日本発祥→東日本で興隆・発展というパターンなので、各地の展示物の特色が面白いです。
感想なのかメッセージなのか私見なのか、よくわからない記事になりましたが、お読みいただきありがとうございました。